トランプは中間選挙で敗れても変わらない
次の大統領選まであと2年、米国の通商政策は変わらないと覚悟しよう
山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

ホワイトハウスで記者からの質問に答えるトランプ米大統領=2018年10月9日、ワシントン
上院は共和党、下院は民主党
アメリカの中間選挙に対する関心が、我が国でかつてないほど高まっている。
大統領選挙の行方はこれまでも大きく報道されてきたが、二つの大統領選挙の中間に行われるこの選挙について我が国の関心は低く、新聞報道も少なかった。今回の中間選挙への関心が高いのは、大統領に対する信任投票となるこの選挙で与党共和党が敗北すれば、トランプ大統領のさまざまな政策、特に日本の経済や産業に大きな影響を与えかねない通商政策が変わる、つまり正常に戻るのではないかという期待があるからだろう。
大方の予想は、改選される議員のほとんどが民主党である上院では、民主党が現有議席を確保できるかどうか確実ではなく、中間選挙後も共和党が多数となるが、全議席が改選となる下院では、大統領自身の女性スキャンダルや女性への性的暴行疑惑があったカバナー最高裁判事候補が共和党多数の上院によって承認されたことに対する女性票の反発などから、民主党が多数を獲得する、というものだ。
もちろん、前回の大統領選挙で優勢と言われたヒラリー・クリントン候補が敗北したり、民主党勝利の予想に危機意識をもった大統領支持派の共和党員が投票に向かう可能性もあることから、予断を許さない。ただし、ここでは、予想通り下院で共和党が敗北するという前提で話を進めたい。